季節のワークショップ 2018/ 4/30

整体の可能性

突然ですが、「ここ何年か腰が痛くて…」とか「若いころから肩こりで…」といった症状だけが、整体の技術の適応範囲だと思われてませんか?

整体には、妊娠時の過ごし方、産後の骨盤調整、育児指導から、体の動きにくくなったお年寄りの介護方法まで実に幅広い技術と知識が蓄えられています。その中で、いざという時に使える『救急操法』もあります。

そして、人体力学体操のように体を直接的に動かさなくても、姿勢と呼吸によって体を整える『呼吸法』も存在します。

今回の季節のワークショップは、上記の内容を踏まえ、前半は『救急操法』、後半は『呼吸法』の二部構成で行われました。 


救急操法

前半の救急操法では、本題に入る前に、『しゃっくりの止め方』が説明されました。以前、楽器の演奏家が舞台の前にしゃっくりが止まらなくなり、依頼を受けた井本先生がその場でしゃっくりを止めたという技法です。

時間の関係で練習はできませんでしたが、「虚を突き、実は外す」整体特有のエッセンスが含まれた技術でしたね。

そして道場の照明が落とされ、スライドが上映されました。ここから火傷の症例が二件、写真付きで解説されました。

4月号の機関誌『原点』でも紹介された症例ですが、スライドではカラーの写真が使われました。

火傷直後の写真はカラーで見ると、痛々しさが倍増します。スクリーンに数日間隔の写真が並び、短期間で皮膚が再生してゆく様子が記録されていました。あまりの経過の早さに早川先生も驚愕を抑えられなかったという井本先生の技、それが火傷の症例の直後に行われた、救急操法『仙骨ショック』です。

体の回復力を最大限に引き出すその技術について、早川先生から説明がありました。体の緊急時に仙骨がどのような状態になるか、そして体の異常だけでなく、心理的な衝撃も仙骨に出るということが、参加された方にはお分かりいただけたと思います。

説明の後に、構え方を見ることができました。

いざ、怪我や火傷をした時、周囲に仙骨ショックをしてくれる人がいないときは、ひとまず自分で行うこともできます。

この技法の凄いところは、効果がすぐに出るところです。日焼けをして体中がヒリヒリしているときでも、しっかり技が決まると次の瞬間から痛みが消失します。

同時に皮膚の再生力が上がるため、回復が加速するだけでなく、火傷痕も残りにくくなります。

一家に一人は、ぜひ知っていてほしい技術でした。


整体の呼吸法~深息法

後半は呼吸法です。

整体では下丹田が重要視されますが、これは必ずしも体の状態だけを表すものだからではありません。

下丹田で、その人の未来を予測することもできるというエピソードが紹介されましたが、こういったお話を聞くと、下丹田の鍛錬法である深息法への期待が膨らみます。

と、その前に下丹田の正確な位置を確認しましょう。

写真では、来日中のフランス講座生ベルナールさんが、きれいな正座の構えで下丹田の位置を確認しています。

位置が分かったところで、さっそく実技です。

みんなで仰向けになり、深息法を一斉に行いますが、初めての方には体操指導者が隣で補助をしながら行いました。

参加者の多くが、「息を吐きながら下腹を膨らませる」という動きに困惑していましたが、慣れない方は下腹を膨らませる力をある程度加減することで、深息法が行いやすくなります。

足の幅や腰の角度、肩のリキみを抜いたり、いろいろ準備を整えてから、早川先生の号令で深息法を開始。

道場内がしんと静まり返り、心地よい緊張感が張りつめます。

「ゆっくり息を吐きながら、終わりにしましょう」

早川先生の言葉がかかると、ふう…という穏やかな呼吸が道場に満ち、各自のペースでゆっくり起き上がります。後方でカメラを持っていた私には、深息法の後の参加者の後ろ姿が、すっきりと背中が伸びているのが確認できました。

ほんの数分の呼吸法で、姿勢が変わってしまうのですから、日常的に行ってもらいたいですね。

わずか1時間に、救急操法から呼吸法を紹介し練習しましたが、もっとじっくり時間をかけて勉強したいという方は、本講座でお会いしましょう。

次回のワークショップは、7月です。

(レポート・松本英樹)

0コメント

  • 1000 / 1000